地図記号に関して誤解されやすいのは、英語の「シンボル」という言葉の意味です。確かに欧米では地図記号をシンボルと呼ぶのですが、地図記号に言語学上の記号以上の意味を読み取るのは不適切です。例えば富士山が日本のシンボルであることは事実ですが、富士山と日本とは全く異なる概念であり、日本という抽象的な心象の代わりに用いられるに過ぎません。正に日本のシンボルなのです。

それに対し、地図記号は「イコール」を意味します。記号の定義段階で、シンボルの働きを参照することはありますが、それが地図記号の機能を拘束するわけではなく、地図記号はあくまでも記号でしかないのです。分かり易く言えば、地図記号の形象そのものには意味がありません。その証左が、地図記号に潜在する文法でしょう。地図記号が言語体系に類似するものであることが分かります。

地図記号が記号であり、シンボルではないという考え方を支持するならば、地図記号の形象を無視しても良いのではないかと思われるでしょう。確かに地図の本質を考えると、その結論は間違っていません。しかし地図をより便利に用いるために、実際は地図記号が一種の絵として、親しみやすい形象として、捉えられていることも事実です。その結果、地図記号の多くが、まるで象形文字のようになっているのだと考えられます。利用者が読み取る時の態度は、この形象を意識するものであるため、地図記号は事実上シンボルとして読み取られているというわけです。

地図記号はデータと同様、点記号、線記号、面記号に大別することができます。そして皆さんの想像通り、点記号と点データ、線記号と線データ、面記号と面データとが、それぞれ結びついています。

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