主題図は一般図に比べ、作成において拘束されにくいことは確かです。しかし何でも好き勝手に作成してよいわけでもありません。例えば記号表現は、その定義からして自由に行えます。町と町との境界を、どのような線記号で表現しようとかまわないのです。
一般図であれば「水田」を示す記号は予め定められていますが、主題図にそのような制限は存在しません。ただし主題図においても図式と地図記号とは異なるものであり、両者の区別ができていなければ地図として成立しません。図式とは地図記号のセットであり、注記であり、規程です。大切なのは、主題図とは言え、図式には決まりがあるということです。例えば境界に種類が存在し、記号を使い分けなければならない時、上位記号と下位記号とを入れ替えることはできません。つまり文法を崩すことはできないのです。もう少し分かり易く言えば、内容に序列が発生している場合、表現形態もその序列に応じたものでなければなりません。
主題図の自由度を考える上でさらに複雑なのは、主題図の種類によって拘束の性質が異なるということです。表現内容であるデータと尺度、及び表現形態である点記号、線記号、面記号が組み合わさることで、主題図を拘束するもの、自由にするものが変化するのです。